しょーーーせーーーつぅーーーー

気まぐれすぎて、泣けてくるわ。

「何でだよ!!」

「何でもよ！もう、もう話しかけないで!!!」

いつも、オレは置いていかれる。かっこ悪いけれど、毎回こうなるんだ。

「ッチ」

荒々しくライターをつけるが、ライターまでに嫌われたか、なかなか点きやがらない。それにまたオレがイラついて、ライターをブン投げる。

「あぁああ!!」

くそ、くそくそっ!!!
胸糞ワリィ

蹴りつけた金属バケツは、けたたましい音を上げて、壁へぶつかる。

「･････いーーけーー！いーーーけーー！！」

ふ、と聞こえてきた。

応援の声だ。
一人で誰かが声を上げて応援してる。

「んだぁ？」

路地を抜けると、少し広くなった。空き地があった。

「フレーー！！フレーーッ!!!」

「うっせぇ」

「!!」

オレの声がヤツの耳に入ったのか、勢い良くコチラを見た。

存在に気付かなかったのか、驚いた顔を見せる。

「あ・・・・すいません、うるさかったですか」

「・・・・」

何でだろう、コイツの姿がカッコよく見えた。

「何してんだ？」

「おう・・・えんの練習です」

「何で？」

「下手･･･だから」

「何で」

「えー・・・・っと、オレかつぜつ悪くて、ハッキリ喋れないんですよ。だから･･･応援の時もしっかり決まらなくて」

「・・・・・カッコイイぜ、お前は」

女にかっこ悪く捨てられるオレと違って。

「え？そんなことないですよ。あなたこそ、背が高くて羨ましいです」

良く見たら、コイツ背ちっちぇ。

「お前イクツだ」

「１７」

「げ、マジかよタメじゃん」

「えっ、同じ歳ですか!!」

あぁ、やっぱオレってかっこわりぃ。

おない歳をカッケーってか。
バッカみてぇだ。

「あの、あなたも声だしやってみません？」

「はぁあ！？」

「う、すいませんっ」

わかった。女に捨てられた理由がわかった。


オレ、かっこ悪いんだ
怒鳴ってばっかだ。


「声だし気持ちいですよ？」

「なんていえばいいんだ」

彼はオレに背を向けると、胸を張った。

「いーーーけーーっ、いーーーけーーー!!!」

その時、オレは驚いたのを覚えている。
心が、瞳が、心臓が、揺らいでいた。

「く・・・・そ・・・」

「ど、っどうしたんですか！」

「くそ・・・・！」

いきなり涙が出てきやがった。
かっこわりぃ

バッカみてぇ。


オレは、コイツみたいにかっこよくなりたい。
なんて、思って・・・・・・またかっこ悪い。



あぁ。




そうか。




コレがオレなんだ。





どうしようもないことなんだった。