夢花火

続き

　「おい、本当に返すのか・・？」
「仕方ないだろ、法にひっかかるの嫌だろ！？」
「そうだけど・・・」
男達が、町外れの山にある小屋にやってきた。
古びたドアを開けると、誰かが座っている。
「・・・・・、やっとか」
縄に縛られた、裕也だった。
「不本意だがな！さっさと来い！」
裕也を縛る縄を、乱暴に掴むと、無理やり立たせ、小屋を出ようとした。

その時。



バッ



「！まぶしっ！」
「なんだ！？」
男達の名前をさす、眩しい光。
「ひっかかったな！誘拐犯！」
「裕也は返してもらう！」
そんな声が聞こえると思った時には、男達は地面に伏せていた。
「っぐぅ・・・」
「これだけ証拠があれば、法は執行できるなぁ」
「!!　それだけは！そらだけはやめてくれっ！」
男達のそれは、ムダあがきと言うものだ。
「ふざけるな。裕也を誘拐し、それを裁かれないとでも思ったか。しっかり苦しめ」
莉季の鋭い言葉に、男達はした事の重大さに気付いたのか、あがく事をやめ、がくりと力を落とした。


　「昨日はたいへんでしたね、ハイ。会長お茶です」
「あ、ありがとう麻美さん」
「検査入院とかしなくていいんですか？」
落ち着いた昼休み。
生徒会室にいる生徒会メンバーは誘拐がなかったのように、ゆっくりしていた。
「大丈夫だ。たいした事ない・・・・・。で、尚。言っておいた事、調べてくれたか」
「ハーイ。しっかりと」
尚は裕也の机の前に、ファイルをもって立った。
「会長をさらったのは、会長の言った通り、図書委員でした・・・・それで一つ、疑問が」
「なんだ」
「あの、会長を監禁していた場所、生徒は知らないはずの場所のはずなんですが」
「・・・・・・・・。」
微妙な雰囲気。
麻美はこの雰囲気にはただ知れぬ物を感じた。
「あれ・・・のしわざか？」
「会長も知っていましたか」
岳浩は気がついたようだ。
「委員会制度反対組織・・・・『裏生徒会』」
「裏・・・・生徒会！？」
知らない組織名。
委員会制度反対組織？
麻美の知らないところに何かが存在していた。