小説パート２

前回の続き。『ココロモヨウ』始まります

　　「おい、女！」
怪我をした兵隊が、叫んでいる。
「何してる！早く逃げろ！」
そんな声も、女には届かないようだ。
「っち・・・おいっ!!　はやっ・・・！」
女へソピア国の兵隊が向かってくる。
それを見た兵隊は、そそくさと逃げ出した。
だが、女は・・・・・・
「私一人で十分だ」
足元へ打ち込まれる銃弾をもろともせず、女は敵兵の海へと突っ込んで行った。
「はあああああああああああああああああっ!!!!」
敵兵の海は、どんどんと崩れてゆく。
十五分もしないうちに、兵は居なくなっていた。大半は彼女によって倒されたか、自分の城へと逃げ帰っていった。
「はぁっ・・・・はぁっ・・・・はぁ・・・・」
体のあちこちに、血がついていた。自分のじゃない。殺した相手の血だ。
「っつ・・・・・っぅう」
激しい吐き気が、彼女を襲った。
戦場へ行くと、『殺さないと、殺される』と、本能が体へ伝えてくる。その伝わった情報により、体は言う事を聞かなくなるのだ。一度持った刀は、治まるまで動き続ける。
　だが、世界一の女剣士とうたわれた自分として、国王じきじきに命令された自分として、戦うことはやめられなかった。
休むたび、自分は正気に戻る。そんな時、戦っていた自分がとてつもなく恐ろしく感じる。
何故、こうも刀を人へ向けられるのか、不思議でならなかった。・・・・・いや、本当はわかっていたのかもしれない。
刀を振るうワケ。簡単だ。自分の命が惜しいだけなんだ。ただそれだけで、人をあやめることが出来るのだ。他人と、自分を天秤にかけたとき、よほどの事がない限り自分のほうに傾くに決まっているんだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　続く。