「ん・・・・」
「大丈夫か?」
あぁ、私、倒れたんだ。
「すいません、莉季さん。なんか、いろいろ・・・」
「いや、いい」
まだ少し、くらくらする。
「麻美さん、少し起きられる?」
岳浩はガラスのコップに水を入れて持ってきた。
「あ、ありがとうございます」
保健室には生徒会メンバーが全員いた。
「落ち着いたら、話してもいいか」
裕也はあえて何の事を言っているのか分かるように、話した。
「私が、ああなったのは・・・私の生い立ちが原因なんです」
「生い立ち?}
麻美は内ポケットから学生手帳を取り出すと、手帳から新聞の切り抜きを取り出した。
「コレ、見てください」
『記憶喪失の少女、海岸に打ち上げられる 家族で心中の生き残りか』
3月22日、トリノ海沿岸で、一人の少女が発見された。
少女は一切の記憶を失っている。
少女の正体は、近くの崖で自殺した一家の生き残りと言う事が発覚した。
崖にそろえてあった靴のうち、一つが少女の髪の毛が付着していたとのこと。
「これが、何か?」
「それ、その少女が私なんです」
「!!」
皆、どこと無くパニックの原因を感じたのだろう。
「高いところから下を覗くと、思い・・・だして・・・・」
麻美が肩を震えだした。
「いい、もうわかった」
「あの時を思い出して・・」
「わかったから!」
麻美の言葉を裕也が無理やり閉じ込めた。
「あれから、施設に預けられて、今の親に引き取られました。お父さんもお母さんも良い方で、私も二人が大好きです。けど・・・・」
「けど・・?」
麻美は一拍置いた。
少し、苦しそうな顔をしながら。
「やっぱり、本当の親じゃないんです。少しの『違い』が、すごくつらいんです。だから、できるだけ早くあの家を出たかった。だけど、二人に迷惑もかけたくなかったんです。だから私は奨学生になって、この全寮制の学校にはいりました。幸い、お父さんもお母さんも私には、熱心に勉強を教えてくださったので、転入試験にも受かる事ができました。」
そこまで一気に話すと、麻美は顔を手で覆った。
「私はっ・・まだ・・・あの苦しい記憶から抜け出せないっ・・・、苦しくて、つらいのに・・・逃げ出せなくて」
通りで・・・麻美がこの学校について知らなすぎたわけだ。
裕也は納得した。
学校が一つの町だと言う事を知らなかった。
相当、急いでココへきたのだろう。
「・・・・・っく・・・・ぅぅう」
麻美が涙を流した。
忌まわしい記憶から抜け出せず、もがいても前へ進めず、親の温かさも・・・・わからない。
「親の・・・温かさ・・・か」
何気ない裕也のつぶやきは、莉季にとっては痛烈な物だったらしい。
顔をしかめた。
「さぁ、泣き止め。もう少し休むといい」
裕也は麻美に言った。
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ちなみに、白虎←ビャッコって読みます。
いろいろ語ったっちゃいますよーん
*ASIAN KANG-FU GENERATION*
*BUMP OF CHICKEN*
*red balloon*
*有川 浩*
*CLAMP*
*高山 しのぶ*
*naked ape*
*松本 大洋*
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*すんごい優しい人*
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*親友*
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■□以上ノ人ゼンブ神□■
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